麗しの蓮の姫~炎のように愛して~【BL】
第3章 孤独な貴公子
と、本当に背中をかく仕種をして見せるのに、秀龍の苦虫を噛み潰したような顔がふっと綻んだ。
「全く、お前って奴は―。見かけがどれだけ変わったとしても、中身は変わらないな」
「そう?」
浄蓮はまだ笑いながら、秀龍のくれた手鏡を陽の光にかざしてみた。
手のひらよりもひと回り小さいそれは、裏面に螺鈿細工で蓮と蝶が描かれている。殆ど純白の蓮は花びらの一部分がうっすらと紅に染まっていた。
「綺麗だ」
浄蓮は呟くと、秀龍を見上げた。
「ありがとう(コマオ)」
「あ、い、いや。そう改まって礼を言われるほどのことでは」
照れた秀龍は所在なさげに視線をさ迷わせている。
「素直じゃないお前からこんな風に礼を言われたら、どうも調子が狂ってしまう」
と、笑った。
「良いねえ。兄貴、その爽やかな笑顔。その笑顔を女連中に振り向いたら、どんな鉄壁の守りの女でもいちころで落ちるよ。今度、やってみたら?」
もう、いつもの調子に戻った浄蓮を見、秀龍は苦笑している。
そこで、秀龍はもう一度、コホンとやった。
「別に私は、手鏡をやったからといって、お前が妓房で働くのを認めたわけではないからな! 良いか、浄蓮、今からでも遅くはないんだ。ここはよくよく考え直して―」
「シッ」
浄蓮の白い手が伸び、人さし指が秀龍の唇に当てられた。
「ムゥ―」
秀龍は何とも形容しがたい表情と声で固まった。
「兄貴、その話ももう今日は言いっこなしだよ。折角、気の利かない朴念仁の兄貴がこんな気の利いた贈り物くれたんだしさ。これは記念すべき日だよ?」
「全く、お前って奴は―。見かけがどれだけ変わったとしても、中身は変わらないな」
「そう?」
浄蓮はまだ笑いながら、秀龍のくれた手鏡を陽の光にかざしてみた。
手のひらよりもひと回り小さいそれは、裏面に螺鈿細工で蓮と蝶が描かれている。殆ど純白の蓮は花びらの一部分がうっすらと紅に染まっていた。
「綺麗だ」
浄蓮は呟くと、秀龍を見上げた。
「ありがとう(コマオ)」
「あ、い、いや。そう改まって礼を言われるほどのことでは」
照れた秀龍は所在なさげに視線をさ迷わせている。
「素直じゃないお前からこんな風に礼を言われたら、どうも調子が狂ってしまう」
と、笑った。
「良いねえ。兄貴、その爽やかな笑顔。その笑顔を女連中に振り向いたら、どんな鉄壁の守りの女でもいちころで落ちるよ。今度、やってみたら?」
もう、いつもの調子に戻った浄蓮を見、秀龍は苦笑している。
そこで、秀龍はもう一度、コホンとやった。
「別に私は、手鏡をやったからといって、お前が妓房で働くのを認めたわけではないからな! 良いか、浄蓮、今からでも遅くはないんだ。ここはよくよく考え直して―」
「シッ」
浄蓮の白い手が伸び、人さし指が秀龍の唇に当てられた。
「ムゥ―」
秀龍は何とも形容しがたい表情と声で固まった。
「兄貴、その話ももう今日は言いっこなしだよ。折角、気の利かない朴念仁の兄貴がこんな気の利いた贈り物くれたんだしさ。これは記念すべき日だよ?」