麗しの蓮の姫~炎のように愛して~【BL】
第3章 孤独な貴公子
「浄蓮、頼む。私の話だけでも聞いてくれ。話を聞いた上で、これからのことを考えても悪くはないはずだ」
思いつめたような瞳の色。これ以上、準基に言わせてはならないと警鐘が鳴る。
「ですから、聞きたくないと申し上げているはずです」
「なっ、頼む」
準基が浄蓮の手を掴んだ。
「少しの刻をくれ。手間を取らせない」
そのまま浄蓮を引きずって行こうとするのに、浄蓮は狼狽えた。
見かけは細身の優男だが、これが存外に腕力がある。武科志望の秀龍でさえ、浄蓮が本気を出せば互角か或いは勝ちなのに、この男は顔色も変えず息も切らさず、浄蓮を掴んだまま連れ去ろうとしている。
この男、文科じゃなくて武科に志望替えした方が良いんじゃないの? と、場違いなことまで考えてしまった。
「ひ、兄(ヒヨン)」
と言いかけ、慌てて言い直した。
「秀龍さま!」
この際、言葉を選んでいるゆとりなどない。
この坊ちゃん、一体、何を考えてるんだ、と、浄蓮は本気で頭を抱えたくなった。
「おい、止さないか。この娘は話すことはないと言っている。明らかに厭がっている女に無理強いするつもりか?」
秀龍が強い口調で言い、その言葉に、準基の動きが止まった。
準基が手を放した隙に、浄蓮はそそくさと離れる。秀龍が浄蓮を庇うように、さりげなくその前に立ちはだかった。
「では、そなたたちの間には、もう他の男の入る余地はないと?」
準基の言葉は眼前の秀龍ではなく、その後ろの浄蓮に向けられているようだった。
浄蓮が何も応えないでいると、秀龍が静かに言った。
「そういうことだ。私から何を言うつもりもないが、すべては、貴殿の見たとおりだろう。後は好きなように解釈して貰って構わない」
思いつめたような瞳の色。これ以上、準基に言わせてはならないと警鐘が鳴る。
「ですから、聞きたくないと申し上げているはずです」
「なっ、頼む」
準基が浄蓮の手を掴んだ。
「少しの刻をくれ。手間を取らせない」
そのまま浄蓮を引きずって行こうとするのに、浄蓮は狼狽えた。
見かけは細身の優男だが、これが存外に腕力がある。武科志望の秀龍でさえ、浄蓮が本気を出せば互角か或いは勝ちなのに、この男は顔色も変えず息も切らさず、浄蓮を掴んだまま連れ去ろうとしている。
この男、文科じゃなくて武科に志望替えした方が良いんじゃないの? と、場違いなことまで考えてしまった。
「ひ、兄(ヒヨン)」
と言いかけ、慌てて言い直した。
「秀龍さま!」
この際、言葉を選んでいるゆとりなどない。
この坊ちゃん、一体、何を考えてるんだ、と、浄蓮は本気で頭を抱えたくなった。
「おい、止さないか。この娘は話すことはないと言っている。明らかに厭がっている女に無理強いするつもりか?」
秀龍が強い口調で言い、その言葉に、準基の動きが止まった。
準基が手を放した隙に、浄蓮はそそくさと離れる。秀龍が浄蓮を庇うように、さりげなくその前に立ちはだかった。
「では、そなたたちの間には、もう他の男の入る余地はないと?」
準基の言葉は眼前の秀龍ではなく、その後ろの浄蓮に向けられているようだった。
浄蓮が何も応えないでいると、秀龍が静かに言った。
「そういうことだ。私から何を言うつもりもないが、すべては、貴殿の見たとおりだろう。後は好きなように解釈して貰って構わない」