麗しの蓮の姫~炎のように愛して~【BL】
第4章 異端者
浄蓮は品があるってんじゃない。この娘は、お高くとまりすぎ。女はただつんと澄ましてるだけじゃ駄目なんだってことを、お前からもよおく仕込んでやっとくれ」
明月が艶やかに微笑んだ。
「じゃあ、これで決まりね。お義母さん、浄蓮を今までどおり、ここに置いてやってね?」
全く、と、女将が愉快そうに声を上げて笑った。
「あたしとしたことが、まんまと明月にやられちまったねえ。流石に、うちの見世いちばんの稼ぎ頭だねえ。人を手玉に取るその手腕は見事としか言い様がない。大方、その手練手管で男どもを引っかけてるんだろう」
口とは裏腹に、女将が明月を見る眼は優しい。
「あんたもこうやって、客を良いようにあしらうのよ」
明月が浄蓮の脇腹をつついたが、混乱気味の浄蓮にはろくに応える余裕もなかった。
女将はしばらく笑顔だったが、やがて、浄蓮に鋭い眼を向けた。
「浄蓮、廓でのしきたりは、昔からけじめをつけるってのが基本なんだ。明月に一度、ここでちゃんと謝りな」
明月が眼を瞠った。
「お義母さん、もう良いよ。あたしは浄蓮を二度も思いきり引っぱたいたんだし、それでお相子ってことにしよう」
「ねえ、浄蓮。あんたも謝るんなら、あたしじゃなくて、お義母さんに謝りなさい」
明月がまた浄蓮をつついた。
「あたしがこれほどに言葉と道理を尽くして説得しても、まだ、明月に謝る気にはならないかい」
女将が呆れ果てた顔で首を傾げた。
「どうも、あたしは、あんたっていう娘を買い被り過ぎていたようだ。あたしが芯の強さだと思い込んでいたのは、実は、とんでもない意地っ張りと頑固さだったんだね」
見損なったよ。女将はそう言って、プイとそっぽを向いた。
明月が艶やかに微笑んだ。
「じゃあ、これで決まりね。お義母さん、浄蓮を今までどおり、ここに置いてやってね?」
全く、と、女将が愉快そうに声を上げて笑った。
「あたしとしたことが、まんまと明月にやられちまったねえ。流石に、うちの見世いちばんの稼ぎ頭だねえ。人を手玉に取るその手腕は見事としか言い様がない。大方、その手練手管で男どもを引っかけてるんだろう」
口とは裏腹に、女将が明月を見る眼は優しい。
「あんたもこうやって、客を良いようにあしらうのよ」
明月が浄蓮の脇腹をつついたが、混乱気味の浄蓮にはろくに応える余裕もなかった。
女将はしばらく笑顔だったが、やがて、浄蓮に鋭い眼を向けた。
「浄蓮、廓でのしきたりは、昔からけじめをつけるってのが基本なんだ。明月に一度、ここでちゃんと謝りな」
明月が眼を瞠った。
「お義母さん、もう良いよ。あたしは浄蓮を二度も思いきり引っぱたいたんだし、それでお相子ってことにしよう」
「ねえ、浄蓮。あんたも謝るんなら、あたしじゃなくて、お義母さんに謝りなさい」
明月がまた浄蓮をつついた。
「あたしがこれほどに言葉と道理を尽くして説得しても、まだ、明月に謝る気にはならないかい」
女将が呆れ果てた顔で首を傾げた。
「どうも、あたしは、あんたっていう娘を買い被り過ぎていたようだ。あたしが芯の強さだと思い込んでいたのは、実は、とんでもない意地っ張りと頑固さだったんだね」
見損なったよ。女将はそう言って、プイとそっぽを向いた。