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第17章 変調


 悠理にしてはあまりにもわかりやすい表情の変化に、遥は何かへ耐えるように自分の両手を握りしめた。

 
「やっぱり、あいつが何か……」


 奥歯を噛みしめているかのようなくぐもった声とわなわなとふるえる唇――それは、爽真に対して酷く憤っていることを明示していた。
 
 友人のそんな様子に、悠理は慌てて「違う、遥ちゃん」と彼女が握りしめた拳を掴む。
 
 ――遥ちゃんは、優しいから……。

 自分を案じてこんなにも怒ってくれる友人の存在は、今の悠理にとって正しく救いだった。
 
 しかし、それでも遥が深槻に対して何かアクションをとってしまった場合、遥自身が今の自分と同じ目に遭ってしまう気がした。

 そう思えば、とても本当のことなんて言えるわけがない。 

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