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第18章 校内散歩
「さて、深槻くんもお帰り願おうか」
いつまでもその場を動かない深槻に対し、三ヶ島が少し呆れた口調でそう言った。
当の爽真はいつのまにやら柔らかな笑みを取り返して、「もちろん、帰ります」と頷く。
「帰りますから、三ヶ島先生は職員会議へ急いだ方がいいんじゃないですか?」
もう始まる頃ですよ。
そう付け加えられた言葉に、三ヶ島はしまったというような顔で時計をみやる。
そして爽真と時計を見比べ「すぐ帰るように」と注意するような口調で言った後、突然爽真の元に近寄り、ぼそりと呟いた。
「で、躾がすんだら俺にも貸せ」
「永井さんがいいといえば、ね」
そう平然と言い返した爽真へ「ああ」と頷いた三ヶ島の嗜虐的な笑みには、先ほどまでの真摯な様子は一切含まれていなかった。
