偽恋
第6章 美沙と玲那
美沙は俺のことを一瞬見てニコッとしてからまた正面を向き、自己紹介をした。
「坂崎 美沙です。よろしくね」
俺は美沙の変わりように驚いた…と同時に怖くなった。
忘れてはいけないものまで忘れようとしているあの眼差しが…
「じゃー坂崎さんは、松室くんの隣ね」
おいおい、先生。そりゃないよ…
「ゆうくん…」
「あっえと…」
彼女はとてもとても懐かしいものを見るように俺を見た。
「松室ー知り合いかよ!?わーもう羨ましいな、お前!!」
前の席の男子が羨ましそうに言ってきた…
「ねぇゆうくん。今日の放課後、時間ある?」
「ぅえ?き、今日?」
「うん、折り入って…話があるんだけど。」
すると…
「ごめんなさい。取り込みちゅう悪いんだけど…松室くん今日は私と帰る約束してるんだ。明日じゃだめ?」
「んーそっかぁそれなら仕方ないよねぇ。じゃ、明日の放課後ね?」
「あ、あぁ」
そう言った後、美沙は玲那を睨むようにして見た。