テキストサイズ

あなたのそばで笑っていたい

第5章 いつもと違う学校とアルバイト

早く学校へ行くメリットは、満員電車でないところ。


空いてる席に座って、けんとを見ると、けんとはまっすぐ前を見てる…。


(何か見えるの?
窓にたまにうつる私たち…。
私を見てる?)


…。


『あっ!』


私はけんとを見た。


けんとはびっくりして、私を窓じゃなく…隣にいる私を見る。


『どした?』


けんとに耳をかしてと合図し…内緒話をするように両手で口と耳を囲った。


『昨日。キスしたから?』


『はっ!!?』


『けんと、声でかい。みんな見てる。』


『だ、だっておまえが、キスとか言うから。』


『だから、声でかい。

教室で偶然会ってたりしてたけど、
駅で待ってたの初じゃない?

それなのに喋らないし、目をそらしてるし。』


『そ、そんなことない。』


(やっぱり、図星だ。)



『私は嬉しかったのにな。

いままでの私を救ってくれたんだよ。

けんととこうして学校へ行けるのもはじめてだし、楽しい。』


『ホントに?』


(やっとけんとこっち見た。そらさない。)


『うん。』


『あ~良かった…。

俺…。

えみが辛いのにつけこんで、優しくして。

告白して、キスして…
えみの気持ちじゃなく…
自分の気持ちばっか押しつけたかもって…。』


『そんなふうに考えたの?』


『あ…?ああ。』


けんとの気持ちが嬉しくて、
わたしは自然とけんとの手に自分の手を重ねた。


『けんとは救世主だよ。

昨日はあれから何もなく寝れたし…
朝から気持ちも良かった。

学校やアルバイトへ行くのがいつもより楽しみになったよ。』


二人で笑顔になった。


教室まで普通にお喋りして、
みんながきてからも7人くらいの男女でお喋りした。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ