恋愛アノマリーズ×1学期
第3章 入学式前日、兄さんと
木製の扉にはプレートがかけられており、『新堂寺小依』と明朝体で書かれている。
「ここが、きみの部屋」
扉を指さして笑みを浮かべる九条先生の言葉へ、少し好奇心でドキドキしてしまう。
中はどうなっているのだろう。
これまではずっと敷布団だったけれど、中はベッドなのかもしれない。
そんなことを考えてゆっくりとドアノブへ手を掛けようとした私に、九条先生は「ちょっと待って」と囁いて軽いキスを私の唇へ落とした。
20センチ以上高いだろう九条先生はされるがままになっている私に初対面と変わらない笑みを浮かべた。
「俺はもう帰らないといけないから、また明日」
楽しみにしてるね。
そう言い残して、九条先生は手を振りながら階段を下りて行った。