恋愛アノマリーズ×1学期
第3章 入学式前日、兄さんと
「この寮は、小依ちゃんを合わせて五人しか住まないからね。これでいいんだよ」
私の手を引いたまま寮内へと入っていく九条先生へ、私はさらに首をかしげる。
どうしてそんなに少数制なのだろう。
私のイメージは、三十人ぐらいの生徒が一緒に生活しているようなものだったのに。
校舎内と同じく綺麗に掃除された屋内へと足を踏み入れ、私はきょろきょろとあたりを見渡す。
ずっと日本家屋に住んでいたから、はっきりとした洋式の住居は物珍しい。
私のそんな様子をくすりと笑った九条先生は、二階のとある部屋の前で立ち止まった。