一万回目のプロポーズ
第11章 妨げ
突然
冷たい何かが頭を刺した
『え?』
それは髪に、地肌に染み
あたしの視界を濁した
「あ…明奈!?」
香織の驚く声が耳に入ったけれど
それに応える余裕はなかった
あたしはあたしは手で、その濁りを拭った
そして、後ろを
ゆっくり振り返った
「あ…ごめんね」
『千尋…』
千尋の持っていたからっぽのコップには
あたしの体を冷やしたものが入っていたんだな
とすぐにわかった
周囲は突然ざわめく
修学旅行最終日のために取っておいた新しい服も、
一瞬でジュースまみれになり
どこか全体が
ベタベタと体中に張り付いた