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掌の浜辺

第1章 春 - story -

「…」
 俺は椅子に座ったままだった。考え事。赤川が実習終わんのと、平石が時間空くのとを見計らって、みんなで野球したかった。できなそうだ。やっぱ4年は身を引いているべきか。それより。サ-クルはなくなってんだよな。もう。みんなバラバラだし。それを無理矢理こっちに引き寄せるのはな。迷惑。俺だったらそう感じる。客観的に見たらそうなんだろうな。お節介なとこもあっただろうし。
 「…ふぅ」
 もうやめっか。吹っ切れりゃいんだ。俺がいつまでもうじうじしてるのが、いかん。それが他の人へのストレスになってんだから、余計そうしてはならないだろう。これに今ごろ気づくのは遅すぎだよな。何やってんだろう俺。今まで何となくて済ませてきたのが悪かった。それも自分の都合優先。相手がどう思おうと自分のやりたいことに引きずりこむ。1人では何もできないということを周囲にさらけ出してどうしたいんだろう。俺。相手の人の身になって物事を考えれないやつは切腹だな。
 (こう考える俺、気持ち悪いな)

 「あ-」
 立つ気力すらもう、ね-。疲れた。


教室にこだまする声が
自分のところに返ってくる
気が
していただけなのか
それが本当に起こっていた
こと
なのかもわからない状態で
考え事をしているなんて
論展開がはちゃめちゃに
なることを何も疑わずに
頭を回しているというのが
自覚できている分
…ましか

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