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掌の浜辺

第1章 春 - story -

 「あ-、ムカツク!」
 「八つ当たりしないでよ!」 「どうしたの?」
 「おのさんダメだわ」 「ちょっと返事は?」
 「おのさんって、小野里さんですか?」 「はい?!」
 机を叩くナオトをりょうこりんは注意する。ゆうこりんは、彼言葉に耳を傾けている。
 「つっ…!」 「園田君、大丈夫?」
 りょうこりんはナオトの興奮をしずめさせようとするが、彼の怒りはおさまらない。ゆうこりんも言葉をかけるけど。
 「んだよ。野球同好会はなくなってるのに、いつまてそれ引きずってるおのさん何なのとか思わね?」
 「思うけど、だからと」 「思うだろ?!」
 「うん。そう思うけど、だからと言って無理に忘れさせるのもどうかと思うよ。小野里さん、思い入れを強く持っているんだしさ」
 ナオト派納得がいかないようだ。
 「結局、おまえもおのさん派か」
 彼はそう告げ、1人でそこのカフェテラスから出ていった。
 「…」

 叶とケンイチは、いつもと変わらない生活を送っていた。


完全に
分裂してしまっている
元野球同好会の面々
彼らをつなげていたもの
そんなに浅はかなものだった
のか
それが本当に野球だったのか
もしくはもっと別のところに
それが存在していたのだろうか
いずれにしてもそれぞれが
違った方向を見ているところで
それを統一することは
…可能なのか

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