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掌の浜辺

第1章 春 - story -

3.まだ

頭のすみに置いておく
このことの意味が少し理解できた
そんな気がする


 苦しいゼミの時間が終わり、オレはちょっと一息ついてから部会をやる教室に向かっていった。
 ギュィ-
 「お」 「こんにちは」
 小野里先輩は一人、机に向かってペンを走らせていた。
 「部長さんはど-したんですか?」
 「あいつ?町で企業説明会受けてくるっつってたから来れるかわからんて」
 「そうですか」

 集合時間はとうに過ぎているのにも関わらず、他の人たちは来ない。しょうがないから、赤川にだけでも伝えておくことにした。
 「昨日、学祭の出展のことで実行部に詳細聞きに行ったんよ。そしたら、一応有志で参加できんだって。それで、今年どうくるって話したかったってわけ」
 「オレは全然いいですよ。学祭期間中、暇してますし」
 「お。じゃ、他のやつらには」
 と言いながら、小野里先輩は自分の携帯電話を開き、画面を見つめたままこう続けた。
 「赤川って、ゆうこりんのアドレス知ってっか?」
 「すいません。知らないんですよ」
 「そっか」
 「はい」
 (ナオトに頼んでみっか)

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