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掌の浜辺

第1章 春 - story -

 リハ研にいるかもしれないと思い、俺は赤川と別れてそこへ行ってみた。しかし、彼を見つけることはできなかった。
 その頃、ナオトたちは
 「ざ-ん-こぉく-な てんしのてえぜ ま-ど-べ-かぁら」 カンカンカン!
 90点以下になったら強制終了!採点により、途中で歌が止まった。
 「園田君終わってばっかりじゃん」 「この採点KYだわ」
 「機械のせいにしてる」 「終わってばっかりって何その上から目線」
 りょうこりんは、少しいい気になりながら駄目出しにも聞こえるようなことをナオトに言った。そのときの彼の返事がおもしろかったのか、ゆうこりんは機械のせいにしてると言ったあとクスッと笑った。
 「あっあたしだ」
 と小声で言って、ゆうこりんはマイクを握りしめた。

 「ありがとうございます」 「はい」
 求人はあるみたい。近々日程を決めて面接を受けに行こう。面倒だけど、仕事しないと。フリ-タ-になるのだけは嫌。
 バスがやってきた。シュ-という音とともに扉は開き、人が入っていく。そして再びシュ-という音がして、その扉は閉められたら。
 プッ 「発進します」
 座れなかった。手帳に予定を書きこむのはやめて、代わりに空いてる日にちを探す。
 「う-ん…」


右左折したり
信号で止まったり
減速したり
加速したり
するときに車は揺れ動く
と同時に
中にいる私たちも揺さぶられる
外の力が内側にも波及する
ということと
人は人に影響されるということって
紙一重だったりするのかな
それとも、単にこう結びつけたいだけ
…なのかな

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