テキストサイズ

掌の浜辺

第1章 春 - story -

33.その意識下にあるもの

 -----
 「おまえの手のひら、浜辺みて-だな」
 笑いながら語りかけてくる俺の同志。何だと思って俺は自分の手のひらを見返してみる。
 「お」
 何となく、そいつの言っていることの意味がわかったような。言葉で表すのが難しい。とりあえず、手のひらに土がいっぱいついているのだが。
 「だろ?」
 「お」
 もっかい見てみる。ん。何となく。
 「もたもたしてんな!ベンチ戻れ」
 「あ、はい」
 土をほろって俺はベンチに下がっていった。
 バシッ
 「ボ-ゥ」
 ツ-ツ-7回裏ノ-アウト1、3塁
 相手5
 こっち2
 点差3
 見守る側の相手ベンチ、応戦体制のこちらチ-ム
 バッタ-ボックスとピッチャ-マウンド
 組んだバッテリ-が打者へ向かう
 キャッチャ- 腕を大きく広げる
 バッタ- 深呼吸
 ピッチャ- 構えて振りかぶり
 ビュン! ブン! カン!
 観客席1塁側へ
 場内アナウンス「ファ-ルボ-ルにはご注意下さい」
 ツ-ツ-変わらず
 両ベンチサイドともに動き見せず
 ……
-----

 「ん-…」
 寝ぼけながらケ-タイのメ-ルを確認する小野里先輩。

 メ-ル

 件名:ブログの更新情報

 「ん-…」
 6月14日(日)03:59
 (野球の夢…)

 「ふぅ」
 異常なうじうじさだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ