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掌の浜辺

第1章 春 - story -

34.灰色

時間の流れを
早くすることができたら
いいのに


 「寝つけん」
 今、明け方の午前4時30分。あのとき、ケ-タイのサブ画面を見たきりずっとこんな状態。今日休みの日だから別にどうでも…いい、か。
 「ふ」
 ひとつ、ため息をこぼす。

 「掲示板見っか」
 小声でそう言う。暇つぶしにと思って。
 ケ-タイを手に取る。開く。ウェブにつなぐ。
 ・・接続中
 「あ」
 一旦切る。
 ・・切断中
 ブックマ-クに登録してんの忘れてた。
 接続を切断しました
 もう一度。待受画面、メインメニュ-、ウェブコマンド、ブックマ-ク、クリック。
 ・・接続中
 ・・接続中
 画面が切り替わった。
 「っと」
 スクロ-ル、検索、クリック。
 ・・接続中
 右の□にキ-ワ-ドをご入力下さい
 カカカカカカカカ
 入力が終わる。検索開始。
 ・・接続中
 ズラッと記事が並ぶ。
 「どれにすっかな」
 まずは全体を眺めてから。


これはする気になれるとか
それだったらやる気がわいてくる
とか
はたから見たらただの
わがままな人っていうふうに
なる
「かもしれない」という言葉を
念のためにつけておくことにする
でも
何でこんな考え方をするのだろう
学部学科のせいだから?
いや
それは違う、元からだ
とは考えてみたものの
この
一瞬の沈黙は何だ
ということの方に頭が言ってしまった
それを考えたくなかったのかな

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