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掌の浜辺

第1章 春 - story -

35.再び

 「…6時、か」
 結局、この時間を過ぎるまで掲示板を見ていたらしい。暇人だな、俺。てか、何もする気になれん。
 「俺…」

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 「6時39分発、東ノ原山行き、まもなくドアが閉まりますのでご注意下さい」
 列車に乗り向かう場所は面接会場。今度は運輸系の会社で、試験の流れは面接が終わったあとに筆記試験があるんだけど、私、筆記が苦手。筆記があると、いっつも憂鬱になっちゃうけど。
 プシュ-
 ココン
 プァン…
 扉は閉まり、列車は目的地へと走り始めた。西海浜駅から東ノ原山駅までの所要時間は2時間半で、9時10分。そこから歩いて10分たつから、9時20分。10時の面接開始時刻40分前に入場の受付が始まるから、これで大丈夫。
 「だよね?」
 どうしても心配になっちゃう。いつもだけど、何回も確認しても間違っていそうって思っちゃう。就活のときは特にそうだよ。
 「うん…」
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 ジリリリリリリリリリリリリ
 パン!
 「ん゛-…」
 ガトン!
 目覚まし時計が落っこちた。いつものくせで7時に設定しておいたみたい。日曜日の早朝に。調子狂う。でも、オレのせいだよな。

 どんよりとした雲が空一面にたちこめている。

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