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掌の浜辺

第1章 春 - story -

36.よくない

思い出した
今日
寮に戻る日だった

 今まで実習で実家に帰っていた。

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 「おはよ-」
 「おはよ。今日、朝からバイトでいいんだよね?」
 「うん。ありがとう」
 「顔洗ってきなさい」
 「は-い」

 シャバシャバ

 「……」
 昨日のメ-ル、全然立ち直れないよ。本当はバイトなんて行きたくなかったよ。何でこんなときにシフトなんだろう。

 カタッ
 「あっ」
 ボトッ
 ガシャン!
 洗顔料を取ろうとしたけど、隣に置いてあった乳液のビンに指を引っかけてしまい、それが床に落ちた衝撃でビンはくだけ散った。
 「ちょっと!大丈夫?」
 「う、うん。大丈夫だよ。ちょっと手が滑っちゃって」
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よかったと思ったのは
今の私の状態を知られたく
ないと
感じていたからだよね
何をどうすればいいの
そう
考えすぎちゃっているのが
いけないってわかっている
のに
どうしてもこうなって
人を助けることができなくて
もう
私がだめな人にしか
思えなくてそのまま
ずっと
落ちこんじゃってバイトとかでも
元気になれないから
こんな
日がすごく嫌いだよ

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