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掌の浜辺

第2章 秋 - heart warming -

 それにしても、元気になってくれて本当によかった。病院に入院することになった知らせを聞いたときはすごくびっくりしちゃったけどー

 ー6月30日(火)、午前7時58分、止まっている1台の自転車に1台のスク-タ-が衝突。どっちもけがをしたが、自転車の方が少し重かったみたい。後ろからいきなり突っこまれたからどうしようもない。気づいたときには病院のベッドで寝ているところだったって聞いた。そのとき私は、大学の講義は全休で就活の予定もなくおうちで寝ていてわからなかった。警察から連絡が行ったのはナオトくんのご両親の方とうちの大学の学生課の方だけだったけど、事故の場所が大学と目と鼻の先の海岸線沿いの踏切の手前で、事故のことはすぐ大学中に広まった。それで、小野里くんから電話がかかってきて事故のことを知った。そのあとに、短い文章だったけどメ-リングが入ってきたから他のみんなにも伝わったんだと思う。
 「園田が事故にあって病院に運ばれた、俺はかけつける」
 西海浜病院。私たちの大学の名前と同じ地名が使われているけど、結構遠く離れた場所にあって。西海浜区の広さはすごいみたいだから、もうそろそろ市になるっていう噂も飛びかっている。そんな街の一角にある大きな総合病院。私も就活とかサ-クル活動でたくさん訪問していて、知り合いの看護士さんにもとってもお世話になっている病院。ナオトくん、大丈夫かな。

 俺は必修科目をすっぽかして園田のいる病院へかけつける。今ごろ坂井のおっちゃんは怒ってるだろ-が、そんなのより後輩が大切だ。留年確定だな。
 自転車で駅まで。その西海浜駅から電車とバスに乗って2時間弱、病院に着いた。総合受付へ行き、園田のことを尋ねる。2階ロビ-奥の緊急手術室3とのこと。向かうとそこにはベンチがあり、園田の親御さんらしい2人がいた。

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