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掌の浜辺

第2章 秋 - heart warming -

 「すいません」
 「はい。ええと、どちらさま?」
 「園田の大学の元サ-クル仲間です。野球同好会の、僕は小野里です」
 その人は、大学と言葉を漏らす。
 「私は園田の母です。こちらは私の夫で。小野里くんと野球同好会のことは、息子からよく聞いています。わざわざ遠いところから、ありがとうござい…」
 パチッという音とともに手術室の赤い点灯が消えた。ガラガラと扉を開けて医者が出てくる。一礼された。
 「もう大丈夫ですよ。あとは本人が目を覚ますまで待ちましょう。手術成功です」
 安堵の空気に包まれる緊急手術室3の扉の前、ベンチの前、俺ら4人の間。よかった。
 「どうぞこちらへ」
 手術室の隣にある小部屋へ案内される。詳しい話があるようだ。先生に促されパイプ椅子に腰をおろす。
 「手術の方は成功してあとは本人が起きるのを待つということは先ほど申し上げましたけど、万が一のことをお伝えします」
 少し空気が変わったような気がした。
 「スク-タ-に追突されたときの衝撃、ショックが体のどこかに影響を与えている可能性があるかもしれません。その場合の処置も施しましたけど、後遺症として何か残るケ-スは考えられるので、そのことを理解していただきたいと思っております」
 「後遺症とは具体的に言うと…」
 不安いっぱいで動揺を隠せない園田母が尋ねる。


”こわい”
お医者さんって
人によるけどすごくいい人っていうのは
多くない気がする
外見上
女の人でも男の人でもグレ-ゾ-ンの人でも
中身的に
優しくても厳しくても普通でも
うまのあう人って人それぞれ
違っているんだと思うけど
これってもしかして
私の先入観? 偏見?
直さなきゃ

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