ガーディスト~続編~
第8章 視えない男(中編)
部屋に残ったのは、気を失った浅井とつばきと…
部屋の隅で蠢いてる黒い物体だった。
《我は、火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)》
祐司の脳に何者かの声が響く。
《我の力を汝に与えよう》
瞬間、祐司の手のひらがじんわりと熱くなった。
(もしかして…これは…)
祐司は黒い物体に手をかざす。
瞬間、ボゥッと炎が現れたかと思うと、黒い物体と共に消滅した。
「!」
目の前の出来事に、目を疑った。
(火之迦具土神…本当に俺に降臨したのか…?)
「う…」
つばきが目を覚ました。
「つばき…!」
「あたし…生きてる…?」
ぼんやりとしているつばきを、祐司はギュッと抱きしめた。
「…ゆーじっ…?」
「…った、無事で良かった…!」
(ゆーじ…声、震えてる…?)
自分を包み込む祐司の体が、なぜか一回り小さく見えた。
つばきはそっと、その背中に手を回す。
「…うん、良かった…」