ガーディスト~続編~
第9章 視えない男(後編)
「大丈夫、心配するな」
祐司はつばきを安心させるため、穏やかに微笑む。
「おい、もう雑談は終わりだ。夜が明ける前に始めるぞ」
急かすようにそう言って、男はその御神体に向かって両手を合わせた。
祐司たちが見守る中、祝詞を唱え始める。
空気の流れが止まった。
嵐の前の静けさというべきだろうか…
物音ひとつしない。
緊張が走る。
何かが、来る気配がする。
「この地を守る神、玉比売命(たまひめのみこと)よ、我の声を聞き、我の前にその姿を現せ」
瞳を閉じ両手を合わせ、男は慎重に呼びかける。
瞬間、その声に応えるように、ゴオオッと空が唸った。
「!」
全身にブワッと鳥肌が立つ。
なにか力の強いものが近づいてくる!
ドンッ!!
地響きのような音が、辺りに響いた。