ガーディスト~続編~
第1章 死んでもストーカーする男(前編)
「ま、待って…」
今まで黙っていた男が、気弱な声で綾を呼び止めた。
「ほ、ほんとに覚えてないの?」
「話しかけないで、気持ち悪い」
「ぼ、僕は君のことが…」
「やめて!!」
綾の怒りは頂点に達した。
「さっさと私の前から消えなさいよ!!」
「…!!」
これ以上2人を接触させるのは危険だと判断した圭吾は、「行きましょう」と綾をエントランスに促した。
祐司はショックを受ける男を、複雑な表情で見続けた。
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「なんだか可哀想だね、その男の人」
翌日、一連の話を聞いたつばきは、ボソッと呟いた。
「勘違いであろうと、相手の生活を脅かしたことには変わりないからな、仕方ないだろう」
つばきの隣のデスクで、報告書をパソコンで打ち込みながら祐司は言った。
あれから男は警察に出頭した。
事情聴取として、圭吾と祐司と綾も呼ばれたが、男に誓約書を書かすことで事件は解決した。
「そうだよね…毎日後つけ回されたら怖いよね…」
つばきはコーヒーを口に含んだ。
「…でもさ、小さい頃よく好きな人の後つけたりしなかった?家まで押しかけたりとか(笑)」
「え~しねぇよ、んなこと」
答えたのは、つばきの前のデスクに座っている護だった。
「女子って、そういうの好きだよな~。どこから入手したのか、俺の写真持ってたりするし…」
護がそう言うと、隣で圭吾がクスッと笑った。
「よく言うよ、自分も好きな女の後ばかり追い回してたくせに」
「え~!? いついつ!?」
「ばっ…言うんじゃねぇよ!!」
護の顔は一気に赤く染まった。