テキストサイズ

精霊と共に 歩睦の物語

第7章 夏の剣道大会…

「歩睦!」
 楓は歩睦の身体を受け止める。

(楓せんぱい…)
 楓の声が聞こえるけど、今の自分がわからない。


 遠くに見える鏡に自分を見つける。

 ぐったりとした自分を抱きかかえ、安全な場所を探す楓が周りを確認している。

 実が泣いて居る。

(み、実…泣かないで…)


 感覚が段々無くなっていく。

「…おい!しっかりしろ!」
 楓の声だけが聞える。

 いつもの「オネエ言葉」を使わない楓。


(せんぱい…素に戻ってる…)
 歩睦に、楓の声がくすぐったい。


「…歩……ぃ……………ぁ…………ぅ…………」
 歩睦に楓の声は聞えるが、ダンダン小さくなる。



 楓の声が完全に聞えなくなった頃…

(……あ…)
 ふっと身体を包む暖かい物につつまれた。


(…あったかい…)
 包まれる温もりに身を預け、ゆっくりと意識がなくなる。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ