
精霊と共に 歩睦の物語
第8章 共にする者
(…許可……僕は北沢君を…)
歩睦が強く願う。
呼び出し音が聞えなくなった。
(あ、誰か出る…)
歩睦が、強く耳にあてる。
「…し…もし?…」
携帯から女の人の声が聞える。
「え!」
歩睦はビックリして、携帯を投げてしまう。
携帯から聞えてきたのは、まぎれもない母の声。
あの時と同じ。だから、驚きを隠せない。
「…歩睦!歩睦なのね!」
投げられて、空間に浮いている携帯から、声だけが聞える。
歩睦は携帯を取りにスーっと近づいていく。
「母さん…」
携帯を持つと、静かに話し始める。
