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精霊と共に 歩睦の物語

第9章 武器を取れ!

 歩睦は一人、体育館の中を歩いている。

 黒い塊や壊れた机や椅子がない。

 歩睦が試合場に戻ってきた。

(元に戻っている…)
 歩睦は半信半疑で、きちんと整った試合場の中心(×印)に立つ。

(誰もいない…)
 周りを見回す歩睦。

 シュッシュッと遠くで音が聞えてきた。

(素振り?)
 歩睦が周りを確認するが、素振りをしている人を確認できない。

  『つ…ちい…』
 北沢の声がどこからともなく聞えてきた。

 歩睦はその声が聞こえた方を向く。

  『ハッ!ハッ!』
 今まで誰一人いなかった。
 試合場の反対側で、袴姿の北沢が黒焦げの竹刀を振っていた。

 その素振り、異様だ。

 振るたびに、竹刀から黒いモノが飛び散り、周りに黒いモヤがかかっていく。

 歩睦はココが、普通じゃないと直感した。


「北…」
 歩睦はそれでも、北沢の方に近づいていく。


{だめだよ、歩睦}
 ユティルが止める。

{ココはキタザワくんの領域…まずは状況を見てから…}
 ユティルは、そう言うと歩睦の肩に乗る。

「領域…」
 歩睦はユティルの言葉に従う。

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