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精霊と共に 歩睦の物語

第9章 武器を取れ!

「歩睦が人を殺した…」
 遥香がガタガタ震えている。


「もう…やめにしてもらえる?」
 歩睦が、泣き叫ぶ遥香を見下ろす。


「え?…」
 鼻や目を赤くした遥香が、歩睦を見上げる。


「これ以上。僕の大事なものを汚すな!」
 歩睦の怒りで竹刀が揺れている。


「な、何言っているの?わからないよ、歩睦…私まで殺すの?」
 ボロボロ涙を流しながら、遥香が立ち上がる。


「もうやめろ!」
 歩睦が叫ぶ。

「おまえは遥香じゃない!」
 歩睦が竹刀で遥香を叩く。


「いやぁぁ………」
 竹刀が遥香に当たった瞬間、遥香が消える。



「はーはー」
 肩で息をしている歩睦。

 歩睦は、持っていた竹刀を投げ捨てる。

 竹刀は、歩睦の手から離れた途端、ボッと燃えあがった。


{歩睦…大丈夫?}
 ユティルが歩睦の肩に座る。

「ああ…」
 歩睦はユティルの体を触る。



  …もう、女の子をたたくなんて、ひどい…
 遥香の声だけが聞える。

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