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精霊と共に 歩睦の物語

第1章 夏休みは部活だ!

「楓先輩…そのキャラ疲れません?」
 歩睦は袴をはきながら、目をパチパチブリッコしてる男子生徒に言う。

「歩睦ちゃんとの大切なスキンシップよ」
 男子生徒がうーんと口を尖らして、迫ってくる。
 彼は草苅 楓(くさかり、かえで)いろんな意味で歩睦の世話をやく中学三年。

「ハイハイ、僕は練前にいきますよ」
 歩睦は、楓を置いて道場に向かう。


『練前』(れんまえ)とは、稽古の前にする準備体操の事を代々言っている。

 他の生徒も楓を避けながら更衣室を出る。
 一人残された楓は、歩睦が居ないことに気づくと、しょんぼり着替えはじめた。


「歩睦はモテモテだな」
 更衣室から出た歩睦のすぐ後から出てきた、男子生徒が小声で言う。

「なんだよ、その『モテモテ』って?」
 歩睦は話しかけてきた、男子生徒を一緒にストレッチを始めた。

 彼は真鍋 涼(マナベ、リョウ)小学生の時からの友達。親友と言ってもいい位ウマが合う。

「遥香ちゃんに、楓先輩。両刀の旦那にはかないません」
 ニヤニヤしている涼。

「両刀って何?」
 歩睦は首を傾げる。

「☆…あっそう!おこちゃま!」
 明らかに、バカにされた。

「お子ちゃま言うな!」
 脹れる歩睦。

「お子ちゃまだろぉ!どっちとも進展ないんだから」
 歩睦の胸をツンツン付かれる。

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