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精霊と共に 歩睦の物語

第1章 夏休みは部活だ!

 歩睦は、剣道部に所属している。

 きっかけは小学生の時父親の勧められてからだ。
 嫌になる事もあるけど、それなりに楽しんでいる。


 西棟と東棟の間を抜け体育館の玄関を入る。
 剣道の道場は、体育館の半地下にある。

 道場に入ると、一年生部員が雑巾がけをしている。

「おはようございます」
 後輩が歩睦に気が付いて、大きな声で挨拶してきた。

「おはよう」
 歩睦はニコッと笑って、男子剣道部の更衣室に向かう。

(僕も、今ごろ去年は掃除していたなぁ)
 更衣室の扉に手をかけ、チラッと一年を見てちょっと、先輩になった感じが、くすぐったい。


「おはようございます」
 歩睦はあいさつと一礼をして入った。

 更衣室の中では何人かが着替えていた。

「ああ、おはよう」
 二年になると、自分のロッカーがある。
 ロッカーと言っても、鍵もない扉さえもない、名前の書いた木の札があるだけの棚。

 その、棚だけでも二年になった実感がある。


「旦那はん。今日も良い男!」
 誰かが後ろから抱きついてくる。

「朝から、暑苦しいですよ」
 歩睦は、抱きつかれた腕を払いのける。

「いやぁん、アチキをいじめるぅ」
 背の高い男子生徒が、恨めしそうに歩睦を見つめる。

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