テキストサイズ

精霊と共に 歩睦の物語

第1章 夏休みは部活だ!

「狙うって!野蛮な言い方するな、憧れてるって言え!」
 歩睦にしか聞こえない位の声で、涼の抗議が来る。

「もしもし、注文は?」
 紅葉さんがニコニコしながら待っている。

「あ、すいません!焼きパンズノーマルでお願いします」
 涼は歩睦を離してくれない、注文をする。

「君は?」
 歩睦の注文を待つ紅葉。

「えーと…」
 ウェルカムボードのメニューを見ていると、

  …どれも美味しいよ…
 不意に後ろから声をかけられた。

 歩睦はその声の探すために振向く。

 ワン!
 そこには、一匹の犬が尻尾をブンブン振りながら、愛敬を振りまいている。

「犬?まさか、話せる?」
 歩睦は、その犬の前にしゃがみ、手を犬の方に向けて、おいでおいでをした。

 犬は嬉しそうに、頭を近づけてくる。
 とてもひと懐っこい犬。

(首輪をしているから、飼い犬だな。名前かな?WAAN?わん?)
 歩睦は、犬の首輪を見る。

  …ワーンだよ…

「!」
 さっきの声が直ぐ近くから聞える。

 歩睦は立ち上がり、周りを見る。
 今の声の主らしき人はいない。

「なんだろう、さっきから、ずっと声がする?」
 キョロキョロしている歩睦。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ