無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「あ！ごめんなさい！大人しい犬だけど、驚かしてない？」
　歩睦の行動をみて、紅葉が走ってくる。

「いえ、いい子ですよ」
　歩睦の足元で犬はお腹を出して転がっている。

「何犬ですか？名前は？」
　涼は、紅葉に話しかける。

「ワーン…うーん…こっちでは、雑種ね」
　紅葉は犬の頭を撫ぜると、犬はうれしそうに擦り寄っていく。

「大人しくしてなさい。私たちは食べ物屋さんなのだからね」
　紅葉の言葉で、ワーンは伏せ状態で待機している。

「お利巧さんだ！」
　涼は、ワーンを撫ぜている。

　紅葉もニコニコ笑っている。

「すみません、涼と同じ物をお願いします」
　歩睦が注文する。

「かしこまりました」
　歩睦の注文を聞くと、紅葉はトラック屋台へ帰っていく。

「…たく、こんな暑い部活帰りに、寄りたい場所が公園か…」
　歩睦は、公園のベンチに座っている。

「あぁー涼のやつ…見てる、こっちが恥ずかしい顔している」
　涼は、紅葉の側でなにか話しをしている。


　…っ…ぅぅ…
　背後から声が聞える。

「？」
　名前を呼ばれたような気がして、ベンチの背に腕をかけて、後ろを確認する。

　誰も居ない。気のせいか？