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精霊と共に 歩睦の物語

第6章 戦いの前に、家族で…

 広間の平テーブルを囲んで、にぎやかに夕食を始める家族達を少し離れた縁側で、法勝と信司は冷えたビールを飲んでいる。

「信司君…歩睦は大丈夫か…」

「はい。残された時間を大事にしています」

「そうか…」

 男二人、言葉はあまり交わさず、ビールをつぎあっている。

 信司が何か話題をを考えている。


「…えーと、お父様は明日の試合はご覧になりますか?」

「いや、社から離れる事は出来ない…」

「そ、そうですよね…」
 話が終わった。

(どうしよう、次の話題…)
 話題を考えている信司。

「歩睦の剣道をしている姿を見た事がないから、見てみたいとは、思うがな」
 法勝は、独り言のように呟く。

「では、ビデオ取っておきますね」

「そうしてくれるか?」

「はい」

「三年の試合は出れないかもしれないからな」
 グラスに入っているビールをクイッと飲み干す法勝。

「出してあげたいですね」
 信司は、ビンビールを法勝に向ける。

 法勝はグラスを無言で出し、ビールをついで貰う。

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