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精霊と共に 歩睦の物語

第6章 戦いの前に、家族で…

「さ、信司君今日の肴はタコの薄乾しだ。飲もうじゃないか…」
 法勝は信司を手招きする。

「はい、今行きます」
 信司は、梢に小さく頭を下げ法勝の方に行く。

「ねーお母さん、タコって魚?」
 実が不思議そうに言う。

「? タコはタコよ?どうして?」
 景は、実の質問に質問で返した。

「だって、お爺様“今日の魚はタコの~”って言ってた」
 思い出すように言う実。

「ああ!サカナね。お魚のサカナじゃなくて、お酒のための「な」おかずのいう意味で「酒菜」って言うのよ」
 景が実に分かるかなって思いながら説明する。

「ふーん、おつまみって事?」

「そうよ!」
 景が頭を撫ぜ撫ぜする。


「さ、私達もお食事にしましょ」
 梢が一回手をポンと叩くと、襖が一斉に空き料理がドンドン運ばれてくる。

「会席料理だけど、マナーなんて関係ないわ。今日は好きなものから食べましょうね」
 梢はニコッと笑って実の側に座る。


「じゃ、遠慮なく。いっただきます!」
 歩睦は目の前のお箸を持って合唱して、食べ始めた。

「僕も!いただきます!」
 実もお箸を持って合唱する。

「実君。何から食べる?」
 梢が実に聞く。

「うーん、あのタコ!」
 実は信司達の前にある、タコを指差す。

「ま!お通しからって、いい筋しているわ」
 梢が笑う。
 その顔を見て、景も笑う。

 実は二人の顔を交互に見て首を傾げる。

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