恋論! *-平凡ちゃんと2人の王子くん-*
第4章 彼女-*-*-幸斗side
白[幸斗、さっきのパス、めっちゃよかった!]
部活の休憩中、話しかけてきたのは親友の真白。
幸[おう、あれはキマったな!]
真白は物腰が柔らかくて優しくて、ほんとにいいやつだ。
それに対して俺は…
コートの外に集まっているファンだか知らねーけど、
キャーキャー言ってるのが
異様に耳についてさっきからイライラしている。
でも、そこに、さらにイライラの種がやってきた。
彩[幸斗くん、お疲れさまぁ]
萩谷彩葉。
[一応]俺の彼女。
幸[ああ、ありがとな…]
渡されたスポーツドリンクに口を付けようとして、
俺は動きを止めた。
幸[な…なんで減ってんの…]
萩谷が買ってきたペットボトルはすでにキャップが開けられたあとで、中身が少し減っているのがわかった。
彩[あ、ごめん、気に障ったかな?のど乾いちゃったから、一口もらっちゃったの…ごめんなさい。]
その言葉に、かろうじて保っていた笑顔が崩れるのを感じた。
多分、ひきつってると思う。
幸[あ、大丈夫、気にすんな]
実際…大丈夫じゃない。
萩谷彩葉はなにがしたいんだろう?
どーせ、関節キス狙いだろう。
でも、それ以前に、
俺が出した金で買った飲み物を、
喉が乾いたからといって、俺に無断で、中身を飲むなんて、
非常識というか…コイツ、バカなの?
ああ、吐き気してきた。
この中身は飲めなさそうだな…。
俺はしょうがないから中身を飲まないままペットボトルを鞄にしまった。
そういう光景を目の当たりにした人はだいたい、
[彼女なのに冷たいね]
って言うけど、
俺は、そりゃしょうがないと思う。
だって、俺、いままで彼女にしてきた奴ら、
――ほんとは好きじゃないんだ。
もちろんだけど、萩谷彩葉も含めてな。