恋論! *-平凡ちゃんと2人の王子くん-*
第7章 想いと涙と王子様-*-*-陽side
うわわわ…!
一気にドキドキが早くなる。
苦しい。
沈黙が気まずくて、焦って。
なにか言おうとして口を開けたけど、
なにも言葉がでてこなくて。
なにを言えばいいかわからなくて。
ごかますみたいに咳をした。
私、ほんとに意気地なしだ。
幸[…なにか用?]
最初に口を開いた佐野くんの言葉からは、
佐野くんの感情は読み取れなかった。
陽[ぇ、えっと、あ、あの…、私…!]
いつも人一倍早く学校に来て、
みんなが朝練始める前に
グラウンド整備するとこ。
同じ電車に乗ってくる、
足の悪いおばあさんが
電車に乗るのをいつも助けてあげるとこ。
友達が学校に持ってきた漫画を
先生に取り上げられたとき、
自分のだと嘘をついて
友達のために一緒に怒られたとこ。
それから。
私とぶつかったとき、
わざわざ保健室まできて、
寝てる私を起こさずに
謝ってくれたとこ。
私、全部ちゃんと見てたし、
保健室のだって、寝てたとかいって
ちゃんと聞こえてた。
佐野くんは表面はちょっと鋭いけど、すごく優しい。
私は、そんな佐野くんを好きになった。
私は見てたよって、
そういうとこが好きって、
伝えたい。
一言じゃ伝えきれない。
いろいろ考えてるうちに、
想いが募って。
私は。
陽[佐野くんが好きです。]
そう、口にしていた。