恋論! *-平凡ちゃんと2人の王子くん-*
第6章 陽、脱☆非リア充運動-*-*-陽side
愛[なーに弱気なこと言ってんの!]
数秒の沈黙を破った愛は、
私の背中を軽くど突いた。
愛[まったく!陽はいつも弱気なんだから!
例えばさっきも!うまくごまかしたけど、
佐野くんと御崎くんの前を通って転んだんなら、
ぶつかる気が無かったてことだよね!]
陽[うっ…(´ω`;;)]
そう。
ぶつかろうと思って歩き出したものの
その意志は簡単に折れ、
私は2人の前を何食わぬ顔で
通り過ぎるつもりだったんだ。
翔[…俺、陽が言ってた理由、
自分が言われたらすげー嬉しいけどな。
言ってみた方がいいって。]
翔の表情はいつになく真剣だった。
"陽が言ってた理由"。
それは、まだ、
"脱☆非リア充運動"が始まって
2、3日の頃。
その日、私は佐野くんを好きな理由を皆に話した。
たしかに、一目惚れだった。
けど、追っていくうちに
どんどん好きになってて。
"憧れじゃないのかも"
最近はそう思えてきて。
"その理由"は、
"助けてもらった"とか
"優しくしてくれた"とか
そんな特別なものじゃ全然ないんだけど、
翔だけじゃなくて、
愛や洋太郎も納得してくれて、
言うべきだって言ってくれた。
付き合えなくても
"好きです"って
伝えるだけ、伝えてみようかな。
伝えたいな。
そう思うのはやまやまなんだけど。
今日、佐野くんの足に引っかかって転んだ。
情けないけど、それしか繋がりがないし、
それだって繋がりらしい繋がりでもないし、
なにしろ、唐突すぎる。
"昨日ぶつかった者ですけど
ずっと前から好きでした"
なんて!!
展開が急すぎるし。
洋[いいよ、どーでも。
…つか、早く告っちまえ]
洋太郎は今度こそ
目が笑ってなくて、すっごい怖かった。
けど、あたしはどーしても
頷けなかった。