恋論! *-平凡ちゃんと2人の王子くん-*
第7章 想いと涙と王子様-*-*-陽side
陽[やっぱ、無理ー…]
何回つぶやいたかわからない。
たしかに、
告るって決意はしたけど。
陽(…心の準備ってモンがあるでしょ!!)
せっかちな愛は、
すでに、その日の放課後、
グラウンドの隅にある木陰の目立たないベンチ…、
そこに来てください、と
佐野くんに手紙を書いていた。
――もちろん、私名義で。
だから私はベンチにいる。
木陰を覗き込まないと見えない位置にあるベンチ。
佐野くんはくるのかな。
ハンドボール部は今日休みだから、
…帰っちゃうかも。
でも、もし…
もし来てくれたとして。
私はなんて言えばいいんだろう?
どうしよう。
カサッ
不意に草木が揺れた。
陽[……あ…]
幸[ぁ…。如…月さんて…あの時の…。]
そう小さくつぶやいたその人。
それは、
何週間かぶりに間近に見る、
佐野幸斗くんだった。