恋は甘い香りと共に
第2章 天気、あらし。
腕時計を見ると時刻は午後1時半ちょうど。
それは5時間目が始まる時間だった。
…うそ。
「いやあああっ!!じゅ、授業っ!!!」
嘘でしょ、もう。
まだお弁当さえ食べ終わってないんだけど!
「あーあ、遅刻だね!」
星が飛んで来そうな満面の笑みをこちらに向ける。
くそ、何でこいつらのせいで…!
てか完璧にペース乱されてんじゃん!
「ああもう馬鹿!!」
とりあえず食べ終わってないけど蓋を閉じて袋に放り込んで、鞄を持って立ち上がる。
「じゃあ、とりあえず先輩のことは何とかするからもう迷惑かけないでね!」
柚木先輩のことはしょうがない。
おせっかいだけどやると言ってしまったんだから。
だからどうか土曜日までこいつらに会いませんように。
「杏里!!」
「何!?急いでるの!」
「僕らのお弁当も、よろしくねっ!」
…!!
忘れてたああああっっ!!
立ちすくむ私の横を軽やかに走り抜けていく金山。