
同居人
第2章 待っていてくれる飼い人
だから
私がお弁当持参の
ことを知らないのは
そういう訳だ
「俺にちょっとちょうだい?」
「いいですよ。…味の補償はできませんけど」
菅野先輩は
私の卵焼きに
手をのばした。
「うまっ。味は砂糖?」
「そうですよ」
「甘くて美味しいね」
「あ…ありがとうございます」
「これから毎日俺の分も作ってよ」
「あ…いえ。私より里香の方が良いと思いますよ?」
「里香…って春日井さん?」
「はい。頼んどきましょうか?」
「…ん。いいや。じゃあ御馳走様」
…気のせいかな
一瞬悲しそうな顔を
したような気が
したんだけど…
「あの…先輩!!」
「ん?」
「これ全部食べちゃって下さい」
「…良いの?」
