
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第23章 揺れる心
「光王ったら、また、その名前で私を呼ぶんだから」
そう言ってから、香花がふっと笑んだ。
「光王も変わらないわ。出逢ったときから、ずっと今でも、私の知っている光王のまま」
そう、彼は変わらない。両班家の跡取りとなっても、身に綺羅を纏うようになっても、言葉遣いは相変わらずだし、優しい。
「なあ、香花」
光王の穏やかな声音が降ってくる。
「俺たちは夫婦だ。婚礼の日、媒酌を頼んだ村長(むらおさ)も言ってたじゃないか。夫婦ってのは、互いに敬い合い、助け合い、労り合うもんだ。だったら、俺に隠し事をするのは止めてくれないか。もし、お前が今、何かで苦しんでいたり困っているのなら、隠したりせず全部、俺に話してくれ。その、何だ、―人生は長いからさ、色んなことがあるだろ。思いがけないときに自分でも想像もしてなかったような重い荷物を背負わなきゃならないときがある。でも、お前がその荷物を一人で背負う必要はさらさらないんだ。重い荷物だって、二人で分けて背負えば、半分は楽になる。お前の抱えてる荷物を俺にも分けてくれよ、なっ」
そう言ってから、香花がふっと笑んだ。
「光王も変わらないわ。出逢ったときから、ずっと今でも、私の知っている光王のまま」
そう、彼は変わらない。両班家の跡取りとなっても、身に綺羅を纏うようになっても、言葉遣いは相変わらずだし、優しい。
「なあ、香花」
光王の穏やかな声音が降ってくる。
「俺たちは夫婦だ。婚礼の日、媒酌を頼んだ村長(むらおさ)も言ってたじゃないか。夫婦ってのは、互いに敬い合い、助け合い、労り合うもんだ。だったら、俺に隠し事をするのは止めてくれないか。もし、お前が今、何かで苦しんでいたり困っているのなら、隠したりせず全部、俺に話してくれ。その、何だ、―人生は長いからさ、色んなことがあるだろ。思いがけないときに自分でも想像もしてなかったような重い荷物を背負わなきゃならないときがある。でも、お前がその荷物を一人で背負う必要はさらさらないんだ。重い荷物だって、二人で分けて背負えば、半分は楽になる。お前の抱えてる荷物を俺にも分けてくれよ、なっ」
