
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第23章 揺れる心
光王は香花が泣き止むまで傍についていた。やがて泣き疲れて眠ってしまうと、彼はその美麗な面に微苦笑を滲ませた。
「全く、こっちがたじろぐほどの色香を溢れさせると思えば、泣きながら眠っちまうなんざ、まだまだねんねだな」
こんなところは少しも変わらない。外見だけは蛹が蝶になるように、蕾が花ひらくように大人の女の色香を漂わせるようになったものの、中身はとんと変わらない。
時々、二人でいるときも、わざと誘っているのではと勘違いをしてしまうほど、ふと頬に落ちた後れ毛をかき上げる手つきや、彼を無心に見つめる潤んだ視線に、とんだ都合の良い男の独り合点をしそうになる。それほどに、褥を共にするようになってからの香花は急速に妖艶さを増していった。
「全く、こっちがたじろぐほどの色香を溢れさせると思えば、泣きながら眠っちまうなんざ、まだまだねんねだな」
こんなところは少しも変わらない。外見だけは蛹が蝶になるように、蕾が花ひらくように大人の女の色香を漂わせるようになったものの、中身はとんと変わらない。
時々、二人でいるときも、わざと誘っているのではと勘違いをしてしまうほど、ふと頬に落ちた後れ毛をかき上げる手つきや、彼を無心に見つめる潤んだ視線に、とんだ都合の良い男の独り合点をしそうになる。それほどに、褥を共にするようになってからの香花は急速に妖艶さを増していった。
