
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第23章 揺れる心
「なかなか手強いです。この分では二年後どころか、一体、何年後の科挙に合格できることやらと早くも弱気になりそうですよ」
光王が頭をかくのに、真悦は屈託ない笑みを浮かべた。
「そうか。まあ、文字の読み書きから始めたにしては、順調な方ではないのか? そなたの師は滅多に弟子を褒めぬ方だが、あの御仁がおっしゃっていたぞ。なかなか気骨のある、末頼もしい若者だと。良き世継を持たれたと羨ましがられた」
「大方、世辞にございましょう」
「あの御仁は首を刎ねられても世辞など口にはせぬ。そのことは、弟子たるそなたがよくよく存じておろう」
二人はそこで顔を見合わせ、笑い合った。
「ところで、そなたが私に逢いにくるとは珍しい。何か話があるのではないか?」
父の方から切り出してくれたことに心のどこかでホッとしながら、用心深く話を進める。
光王が頭をかくのに、真悦は屈託ない笑みを浮かべた。
「そうか。まあ、文字の読み書きから始めたにしては、順調な方ではないのか? そなたの師は滅多に弟子を褒めぬ方だが、あの御仁がおっしゃっていたぞ。なかなか気骨のある、末頼もしい若者だと。良き世継を持たれたと羨ましがられた」
「大方、世辞にございましょう」
「あの御仁は首を刎ねられても世辞など口にはせぬ。そのことは、弟子たるそなたがよくよく存じておろう」
二人はそこで顔を見合わせ、笑い合った。
「ところで、そなたが私に逢いにくるとは珍しい。何か話があるのではないか?」
父の方から切り出してくれたことに心のどこかでホッとしながら、用心深く話を進める。
