トライアングル・ラブ―素直になりたかった―
第6章 疑惑
…あ、プリント…。
私は忘れかけていたプリントを取ろうと、机の中に手を突っ込んだ。
「…え?」
思わず誰もいない教室で声を出してしまった。
何故なら、机の中にあったプリントが…全て破られていたから。
私は椅子から立ち上がり、机の中を除き込んだ。
案の定、無事なプリントはなかった。
私がいなくなった時間、この教室にいたのは…。
私は立ち上がり、未だに南と何かを話している生沼佐由子を窓から見つめた。
それから、ビリビリに破かれたプリント類をゴミ箱に捨て、ビリビリに破かれた心と共に、私は静かに家路に向かった。