向かいのお兄さん
第10章 利益、これ
『で…何しゃべんの?』
そうだ、一応しゃべるためにあたしは来たんだ
「昨日言ってた"利益"って、何?」
まだ、そんなこと考えてたのか
『何でもないって言ったじゃん』
「気になんだもん」
『あんた頭良いんだから、自分で考えろ』
「…利潤、金儲け、ためになること…」
直也はブツブツと言葉を並べていった
「金儲け?」
『どっちかっつと、ためになることじゃない?』
へぇーと軽く口を開け、直也は頷いた
「で、俺に利益があるかないか…って聞いたよな?」
『…うん』
「どういう意味で、利益って言ったの?」
そんな
評論家みたいに言及するな
『だから、何でもないの』
「教えろ」
『…』
久しぶりに携帯をちらつかす直也を見て
あたしは仕方なく口を開いた