向かいのお兄さん
第21章 神さま
何か
あたしの中で
詮が抜けた
あたしは椅子の背もたれを
ゆっくりとずり落ちた
自分がどこを見ているのかすら、わからずに
『なおや…死んじゃったの…?』
目を開けて
喋って
触れて
キスして…
でも直也は
何もしてくれないの…
「直也は死んでないよ…」
和樹に背中を押されて
あたしは
病室を出た
――――――
「コーヒー飲める?」
病院の待合室で
ボーッと座ったままのあたしに
和樹はコーヒーを出してくれた
『…』
あたしは首を横に振った
今は何も
したくない