向かいのお兄さん
第21章 神さま
「朝方に、連絡が入ってさ…」
あたしは何もしないで
耳だけ和樹に傾けた
「事故ったんだって…直也」
『事故…?』
「信号が青に変わって、直也は車を進めたんだけど…
横から、雪道で滑って止まりきれなかった車に
衝突されたんだって」
『車…』
あたしを
送ってくれたあと…
「一命は取り留めたみたいで…今は目を覚まさないだけ」
『…』
あたしは
両手で頭を抱えた
足で地面を踏み鳴らして
声にもならない声を出して
膝で額を
何度もぶつけた
「美咲ちゃん落ち着いて!!」
和樹はあたしの腕を掴んで止め
あたしは和樹にしがみついた
『…だ…』
「え?」
『ぁたしの…せぃだぁぁ…』