向かいのお兄さん
第4章 電話で
《早くー、あと10秒以内にしなきゃ、マジで流すから》
『ちょっ、まっ…!!
…あんた今どこにいんの?』
《自分の家》
『他に人は…?』
《一人暮らしだし》
あたしはため息をついた
どうする…?
電話越しなら、やってる振りで済ませることも出来る…
『…わかった』
《さすが美咲》
『…待ってね』
あたしは勉強しながら、少しずつ呼吸を荒げていった
もちろん"振り"だよ
テスト近いし、鬼畜に構ってる暇はないから
『…んっ…ぁ…』
《…》
『っ…は…』
どうですか、この悶えてる感たっぷりの声
さすがあたし、女優になれますわ
《怒るぞ》
バレてたー
『だ…だって電話とか、も、ほんと勘弁してください、来週テストなんです…』
《とりあえず…そういう気分になれば、やるってことだよな》
はい?
《今から俺の言う通りにしろよ?》