向かいのお兄さん
第30章 ふたりの関係
――――――――
PLL…
『来たぁ!!』
あたしは携帯が鳴り出すや否や、すぐさま手に取った
でも、だからってすぐには出ない
ここは、焦らす
PLLLLL…PLLLLL…
『…』
本当は、早く通話ボタンを押したいんだ
でも、我慢…
PLLLLL…PLLピッ
『もしもーし』
《長かったな、トイレか》
違うわ!!
《それより、俺にはお土産ないの?》
『クッキーあげたじゃん』
あたしは椅子の上でクルクルと回った
《俺だけに、とか、ないの?》
かはぁっ///
こいつ甘えてんのかなぁ~?
『ごめん、ないわ』
あっさりとそう言うと、
《ふ~ん》と聞こえてきた
それと同時に、突然窓がガラッと開いた
『ぎゃあ!!!!』
あたしは驚きのあまり、椅子ごと倒れた
かなり痛い
「はは、ナイスリアクション」
『あ…あんた何で窓から…』
あたしは携帯を切り、窓から顔を出す直也を見据えた
「塀に上ったら、余裕で届くんだけど」
と言いながら
直也は窓枠に手を掛け
あたしの部屋に上がり込んできた