向かいのお兄さん
第2章 向かいのお兄さん
『あ…たしは、向かいの松浦(マツウラ)です』
「だよね、いっつも登下校のとこ、見てるもん」
見られてたぁあ
『それは…どぅも…』
「ところで君さ、昨日の9時頃何してたの?」
昨日の…9時?
オナニーしてましたぁ
なんて死んでも言えるか馬鹿野郎ぉお!!!
『勉強、ですかね』
「ふーん…」
『えっと…では!!』
何をどうしたらいいのかわからなくなって
あたしは京饅頭を無理矢理渡して逃げようとした
「あ、待って」
けれど呼び止められる
『京饅頭、腐ってましたか…?』
「違う違う、ちょっとこっち来て」
手招きされるあたし
やん、誘われちゃってる?
とか余裕ぶっこいてる場合じゃないよ
『…』
警戒しまくりで近寄ると、イケメン労働者はポケットから携帯を取り出した
あ
記念撮影ですかー?
「これ、聞いて」
違うとさ
『はい…?』
あたしは出された携帯に、耳を当てた
イケメン労働者は、再生ボタンをピッと押す