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隣の椅子

第1章 1

「名前なんて言うの?」
隣でフリーズしていた啓が我に返ったのか、何事も無かったかのように「お前、知らないのかよ。同じクラスだよ?」と俺に耳打ちする。
啓なりの精一杯の対応だったんだろう。
本当に同じクラスなのだろうか、こんなに目立つ子を俺は見逃すはずがない気がした。
この子を覚えてないのだとしたら、それは、よりちゃんやら、かなちゃんやらの女の子を覚えてる事がおかしい。
「・・・・荒杉 維代(アラスギイヨ)です」
口笛を吹くような微かな声が聞こえた。
声を発した彼女は顔を赤くさせている。
「圭己ちょっと、彼女と約束がある。動物園は来週でいい?」
もちろん。と僕は答えた。小さい嫉妬を抱えながら。
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